ブランドとは?
「ブランド」は消費者に自社を競合他社より優れていると認識させる要素のことをいいます。
例えばブランド力のある製品は売るために労力をかける必要がなく、消費者にとって製品を買うことが満足につながる、とても有用なものです。
こういった他社と差別化できる要素を顧客に認知してもらい、広く浸透させる活動が「企業ブランディング」です。
世界的に有名な日本のブランドといえば製造業の製品でしょう。
「メイド・イン・ジャパン」というブランドは海外で高く評価され、今でも高い人気を誇っています。
中小企業にもブランドは必要?
「ブランドなんて大企業のものだろう」と考えるのは間違いです。
日本の企業の99.7%は中小企業です。0.3%という希少価値がある大企業は「大企業である」というだけでブランドを手にしているといえます。
むしろ競合他社が多く、競争力を持たなければ埋もれてしまう中小企業こそ、ブランドを確立することが、一歩抜きんでるための有効な手段といえます。
企業ブランディングとは?
企業ブランディングとは「企業が目標としている社会的意義やそのために行なっている活動」をステークホルダー(自社の利害関係者)に対して訴えかけ、理解と共感を得ることで企業の価値を認めてもらうことをいいます。
商品やサービスにブランド力を持たせることをプロダクトブランディングといいますが、その商品やサービスの人気が衰えるとブランド力も失われてしまいます。
これに対して企業ブランディングは個々の商品ではなく企業自体にブランド力を持たせる戦略です。
もちろん、ヒット商品を出し続けていれば企業ブランドも高まっていくのですが、それは他者によって作られるブランドイメージであり、それが自社の戦略に有効なものであるとは限りません。
企業ブランディングでは、自社の価値を主体的に発信していくことで、自社を取り巻く人々に持ってほしいブランドイメージを作っていきます。
中小企業における企業ブランディングの進め方
企業ブランディングに専門部署を設けて、潤沢な予算を使ってブランドイメージを宣伝できる大企業と異なり、中小企業の企業ブランディングの進め方は限られたリソースで効率よく行なうことが求められます。
まず、自社の良さ・特徴は何かを分析しましょう。ブランディングは他社との差別化ですから、「わが社はここが他の企業と違う」という点を訴えかける必要があります。
分析には様々な手法がありますが、最終的に「自社の強みと弱み」「自社の社会における立ち位置」「企業ブランディングの方向性」の3つを定義しましょう。
必要であればブランディング会社に依頼することも検討します。出発点で間違えると全てが無駄になりますから、限られたリソースといっても最初の定義はしっかりと調査・分析・検討を行ないましょう。
次に調査結果から自社の目指すべきブランドコンセプトを決めます。
このとき「ステークホルダー全体で共有できるコンセプト」という視点を忘れてはいけません。
企業ブランドは自分たちだけのものではなく、ステークホルダーに訴えかけ共感を得るためのものですから、経営者や企画チームの考えだけでなく顧客や株主、取引先など広い視点で考えましょう。
またブランドコンセプトは出来上がった時点で社員全員に説明し、以後は常に全員がブランドコンセプトを意識して業務を行なうよう指導します。
必要なのは統一性と一貫性です。社員一人一人がブランドコンセプトを理解し、必要があれば説明できるようになっていないとブランドが揺らいでしまいます。
次にブランド戦略を立てます。
ブランドコンセプトをどのようにしてステークホルダーに浸透させるかが主眼です。
ここからは限られたリソースをやりくりすることになるので無理は禁物です。
大抵何人かが兼務の形で取り組むことになるので、意思疎通を図ることは忘れずに行い、ブランドを浸透させるためのロゴやブランドイメージ、広報サイトなどのブランドツールはできる範囲で作成していきます。
出来上がったブランドツールは企業のホームページや企業案内、名刺、会社の封筒など、あらゆるものに使用します。
ブランドコンセプトを浸透させるために必ず統一感を持って運用しましょう。
最後に企業ブランディングの継続と見直しです。ブランディングは継続することでブランドを育てるものです。
また時代の変化や、顧客ニーズの変化などで、ブランドコンセプトが自社の打ち出したいイメージとずれることもあります。
定期的に見直しを行い、必要があればリブランディング(ブランドを見直し再構築すること)を実施しましょう。