企業が事業をする上では経営理念や事業方針に基づいた経営戦略を立てていくことが必要だと言われています。
なぜ企業にとって経営戦略がなければならないのでしょうか。
そもそも経営戦略とは何かというところから考えると必要性がよく見えてきます、戦略を明確に打ち出すかどうかでどんな違いが生じるのかを確認しておきましょう。
経営戦略は企業が事業を継続するために欠かせない
経営戦略とは企業が現在置かれている環境下において目標を達成するために必要な方策や手段、筋道のことを指します。通常、企業経営をするときには企業理念を定め、ミッションステートメントなどを整えてどんな事業を行っていくかを明確にします。
そして、その内容に基づいた事業計画を立てて取り組んでいくのが一般的です。しかし、世の中が変化していくにつれて同じ考え方で事業を展開していたのでは事業継続が難しくなることは否めません。
新たな技術や分野、企業などの登場やグローバル化などにより競争環境が変化していくからです。
また、内部の人材の出入りもあって社内環境も着実に変わっていきます。このような変化に対応できるように対策を立てることが企業が事業を継続する上では欠かせません。
その手段として有効なのが経営戦略を再考して、現状に合っているものを打ち立てることです。
経営戦略を立てるプロセスは内部および外部の経営環境の情報収集と分析をした上で、経営理念に基づく事業を展開するためにはどのような課題があるかを考えるのが基本です。
そして、企業経営における大目標が何かを定め、その目標を達成するために必要な業務の効率化やコストの削減の方針、評価制度などの各種制度や人材配置、予算などについての検討を行い、具体的に何をすべきかを決定します。
その内容を段階的に分けて短期目標、中期目標、長期目標といった形で整え、誰がいつまでに何をしなければならないかを明確にするのが一般的です。
このような具体的な指針が整うことによって、現場で働いている社員が何をすべきかを正しく把握できるようになるのが経営戦略を立てるメリットです。
そして、大局的に物事を考えて判断し、最終的に大目標を達成できるようにするための選択を自ら行えるようになるでしょう。結果として業務のスピードも質も向上します。
また、経営理念の再確認も兼ねられるため、何を目指して働いているのかについての共通認識を得られるのも魅力です。社員同士が協力して目標に向かおうという意識が生まれやすくなるからです。
このような内部ブランディングに効果を発揮するのは経営戦略を再構築するメリットでしょう。
経営戦略は外部ブランディングに役に立つ
外部ブランディングという視点からも経営戦略の必要性が高まっています。経営理念が定まっていて、一般消費者や提携先の候補となる企業から見て共感できるというケースは少なくありません。
しかし、ただ崇高な理念を掲げるだけならそれほど難しくはありません。そのため、消費者や他企業は実際にその実現のために何をしているかを見るようになってきています。
実際の事業への取り組みを把握した上で、この企業の商品やサービスを選びたい、投資してもっと頑張ってもらいたい、契約をして一緒に事業を行っていきたいといった考えを持つようになるのです。
経営戦略を策定し、計画している取り組みをリスト化すれば外部へのアピールになります。
具体的なアクションプランがどうなっているかが明確になるとブランドコンセプトの理解も深めてもらうことが可能です。その方向性に共感を持った人や企業からは高いブランド価値があるという認識を持ってもらえます。
外部環境を正しく把握できていれば他社との差別化も戦略に盛り込めるため、その魅力を顕在化しようと考えて情報発信をしていけば優れた事業展開をしようと努力している企業として認めてもらえるでしょう。
このように経営戦略はアピール力のある外部ブランディングを行うための基盤になるのです。
経営戦略が明確になっていると目標に応じて取り組んできた成果を評価しやすくなります。株式会社の場合には株主総会でいかに事業の展開や組織の改革などに取り組んできたかを数値化して説明するのにも活用できる指標になるでしょう。
具体化されているので企業経営にあまり理解がない人からも企業としてどれだけの努力をしてきたのかがわかりやすく、経営に詳しい人からはその価値や意義について正当に評価してもらうことが可能です。
高い評価を得られるように目標を達成していこうと考えるようになるため、経営者としてもモチベーションが高まりやすいのもメリットです。
経営戦略の必要性を認識して改革に取り組もう
経営戦略は変動を続けている外部、内部の環境に対応して事業を継続していける状況を整えるために必要です。
競争が激化するにつれてその必要性も高まってきています。明確な経営戦略を打ち立てることで内外のブランディングを効率的に達成することが可能です。
経営者も事業を継続するモチベーションを高めやすいため、経営戦略は企業経営をする上で欠かせないものなのです。