日本にはたくさんの会社があるため、その中で競争を強いられることになります。この時、会社を救うのは経営戦略になるでしょう。
経営戦略がぼやけている会社はほかの会社に比べると売り上げが伸びにくく、逆に経営戦略が明確な会社ほど個性を出すことができ、売り上げを大きく伸ばすことができます。
では、具体的にどのような経営戦略があるでしょうか。実際に適用した差別化の経営戦略の事例を見ていきましょう。
電話回線や電話機器を販売する中小企業の事業戦略例
日本の企業の90パーセント以上は、中小企業といわれています。そうだとすれば、中小企業が生き残っていくための考え方をとりいれる必要があるでしょう。
そこで、中小企業でも大企業やほかの企業に負けない経営戦略の事例の一つに差別化戦略があります。この戦略は、ほかの企業と異なる手法を用いることにより、自社の強みを発揮する戦略になります。
具体的な事例を説明すると東京都多摩地区で電話回線や電話機器の販売をしている株式会社ヤマグチという会社があります。この会社は、差別化を考える前は、ほかの会社と同じような売り上げかそれ以下の売り上げしか出すことができませんでした。
しかも、差別化しにくいジャンルと言えるでしょう。
そこで、差別化戦略を用いてまず、販売地域の絞り込みを行うことにしました。会社からの最寄りの沿線周辺のみに絞り込みを行うことに決めたのです。しかも、駅から近いところは避けるようにしていました。
なぜなら、駅から近いところほど、大手の販売店が進出してくる可能性があるからです。そこで、駅から徒歩10分以上のところを営業地域としました。
続いて、客層の差別化を図ってきます。客層に関しては、従業員が10人前後の会社に絞り込み営業を行ってきます。
このような会社に対して営業行為をする大手の会社は少ないからです。それに加えて、業種も製造業や建築業などの現場系の会社に絞り込みを行うことにしました。
通信機器の販売の営業に関しては、一般的にテレアポを行い契約をとるスタイルが多いです。ですが、差別化のためにあえて飛び込み営業を行って顧客を獲得していきました。
もともと、その地域が飛び込み営業に対して適していると判断したからです。これにより、売り上げを大幅に伸ばすことに成功しました。
ある中小企業の蒲団メーカーの経営戦略
布団メーカーといえば、決して新しいジャンルではなく古くからあるジャンルの一つになります。
人口が増加しているわけでもなくライバル会社も多いため、なかなか売り上げが伸びませんでした。そこで、寝具メーカーの株式会社イワタでは差別化を図ることにし売り上げを伸ばすことに成功しました。
まず、あらゆるジャンルの布団を使うのではなく、素材と原材料をこだわり絞り込みをすることからスタートしています。絞り込みをすることで売り上げが落ちそうなイメージを持たれますが、実際にはその逆に働くことが多いです。
絞り込みをすることにより、そのお店の個性が明確化するからです。実際にどのような素材を使っていたかといえば、保湿性や吸湿発散性が優れている素材のみにこだわり販売していくことにしました。
また、販売理念を具現化することにもこだわったのです。布団を販売する会社の多くは、布団を買ってもらうことが目的であり、買ってもらう以外に明確な理念がないことが多いです。
ですが、この会社は、単に布団を購入してもらうだけでなく、お客さんに対して快適な睡眠環境を提供することに重点を置いたのです。
こだわりとして、一人一人の睡眠の状態を事前にカウンセリングし、最適な状態の布団を提供することに成功しました。結果的に、睡眠にこだわる顧客を獲得し、従来に比べ、大幅に売り上げを伸ばしたのです。
埼玉県の弱小学習塾の逆転劇
埼玉県南部に、教室が1つしかない個人指導アカデミーという学習塾がありました。この学習塾は、すでに10年以上の時間が経過しています。埼玉県南部での学習塾の経営は、とても厳しいものがありました。
まず、埼玉県内の中でも人口は多いといえども、少子化の影響を避けることはできません。それに加えて、大手の学習塾も次から次へと進出してきています。そのため、競争が激しく力のない弱小学習塾は赤字に追い込まれていくのです。
そのような中で、弱小学習塾が大手学習塾に負けずに生き残るためには、大手学習塾では決して真似をすることができない個性を出し差別化する必要がありました。
そこで、取り組んだ差別化の一つが、決定した家庭学習の習慣づけでした。実は、学習塾の保護者の要望で一番多いのは家庭学習をさせてほしいとのことでした。
この要望に応えるべく、ほかの大手塾では決してできない綿密なスケジュールを組み家庭学習の管理を行っていたのです。
紆余曲折を経たものの、少しずつ家庭学習の習慣がついてくる生徒が増えていき、結果的にその教室に通っている生徒の9割近くの成績を伸ばすことに成功しました。
反響が反響を呼び、教室の拡大が必要となり、1校目を開校してから3年で教室を7教室に増やすことに成功しています。
経営戦略の事例からわかること
経営戦略の事前の中で共通しているのは、ほかの会社や大手企業ではなかなかまねすることができない方法を採用することです。
差別化をするために場所の選択をすることも大事ですが、それ以外にも営業手法の工夫も重要になります。
さらには、徹底した品質の管理や顧客管理が重要になることが理解できます。これにより、赤字続きや売り上げの伸びが見られなかった中小企業が成功していくことになりました。